Forget me not − パレットを知ろうとする

注意: 本ページはネタバレをとても多く含みます。さらに悪いことに、 筆者の誤解や思いこみによる嘘情報が含まれている可能性がありますので 閲覧には充分ご注意下さい。

更新履歴

記憶マップによる分析

B.D.の部屋から4つの分岐が発生しています。おおまかに分類すると 以下のようになると思います。

時系列による分析

おおまかな時系列を以下のように考えてみました。

シーンごとの分析

前項の時系列に従って、以下のように分類します。

長くなりそうなので別ページにしました。

黒い帽子の男の正体

B.D.の父であるという点は何度も記述されていますがその正体は...?

→PC版では曖昧でしたが、PS版ではベクターだと明記されています。

いつも帽子を被っている理由は、強盗殺人事件に巻き込まれたときに負った 火傷の跡を隠すためでしょう。

赤いシルエットの女の正体

B.D.は彼女のことを最後に「母さん」と呼んでいますが、 「食卓」の様子を見る限りでは、赤いシルエットの女はゼブル移民前には 登場していないようです。移民契約のシーンが初出ではないでしょうか。 そうなると、本当にB.D.の生みの親なのかという点は疑問に残ります。

「ラッサ」の麻薬を利用して、B.D.の記憶を 失わせる実験を行ったり、「配合記録」などを残していたりする以上、 彼女もゼブル計画に携わる一員なのでしょう。

彼女の部屋(と思われるランプのある部屋)に、マシルト・クリムのビデオが あるのは暗示的ではありますが、ラッサの密輸に関わった逮捕歴のある 「メルニック・クリム == 赤いシルエットの女」説は、彼女の墓標が ある以上成立しないように思います。

余談ですが、彼女が隠し持っていた「薪」が、その麻薬の原料であるという 点については、PS版の方がよりしつこく出てきます。そこまで言わなくても 分かりそうな気がするというか、もっと他に知りたいことがあるんだがーという 気がしないでもありません。

B.D.の正体

は、ベクターの娘ということでよいかと思います。登場人物の中では カナリア・クリムという少女が...? という気もするわけですが(時系列的にも 合ってますし)、おそらくはmisdirectionというやつなのではないでしょうか

猫を殺したのは誰なのか

壁に書かれた「人殺し」の血文字を見る限りでは、 ベクターがクリム一家を殺害した後の話でしょうか。だとすると、 「投石」の類いと同じく、誰かの嫌がらせと考えられます。

B.D.自身が殺したという線はないのかな。と考えてみたんですが、それはないか...

盲目

「1年前の事故」で視力を失ったとされるB.D.ですが、その真偽は? 本当だとしたらその原因は?

夢の中で自分が盲目だったということを父に告げるシーンがあります。ので、 そのような記憶を元に盲目のB.D.というものを作り出しているのかな?

last sceneで何が起きたのか(1)

キーになると思われる部分を列挙します。

「子供」は、言うまでもなくB.D.でしょう。「子供の方」という表現から、 上官の言うことが正しければ黒い帽子の男は死んでいると理解できます。 そして、すでに考察した通り、この上官は、黒い帽子の男にとっても、 赤いシルエットの女にとっても「上官」と考えられますので、 この場合の「君」は赤いシルエットの女の方を指すと思われます。 その後、ゼブル計画について話す上官の「君たち」を見てもそう思います。

その後の上官の科白などから考えると、 赤いシルエットの女は上官に銃で襲いかかり、その後逃亡、というふうに 理解できます。

B.D.はその後どうなったのでしょうか? そもそもB.D.はlast sceneで何をしたのでしょうか? シアンを作り出すほどのショックを受けたようですが...

暗転後の「音」について、もうすこし詳しく聞いてみると、以下のような 感じになります。

「窓越し」に、上官の配下(?)がベクターを射殺し、突入を行ったと いうことでしょうか。(ゼブル計画の委員会のひとと警察の関係が不明なのですが)

そのとき、B.D.はどうなったでしょうか。少なくともこの段階で B.D.が狙われる理由はありません。そうなると、上官の「子供の方は」という 科白が気になります。

「シアンの部屋」、これはいくつもの回想シーンが示唆している通り、 ゼブル移民前のベクター家のちかくにあった廃屋、ということで間違いないと 思われます。つまり、last sceneの後、B.D.はゼブルを脱出したことになります。

「君のほうで始末しておきたまえ」の「始末」というのが、殺害を意味するとすると。 それを拒否した赤いシルエットの女がB.D.を連れて逃げたという解釈ができます。

ゼブル計画

犯罪に関わった者(被・加害者問わず)の子供は、高い確率で犯罪を 犯すという理論に基いた更生のための計画だそうです。ゼブルという都市に 移住させ、記憶を奪う。その後、別の土地に養子にとられたり、といった 風になるらしいです。賛否はともかく、この物語の中では そういうことになっています。

犯罪に関わった者(被・加害者問わず)の子供の総称を 「B.D.(born of disorder)」といいます。というわけでB.D.というのは 彼女の名前ではありません。が、本当の名前が出てこないので便宜上B.D.と 呼んでいます。

ベクター夫妻(?)は、その計画の提唱者であったとのこと(上官の科白より)

考察

罪は親から子に伝わるのか、という問題について、登場人物それぞれが いろいろ考えや願いを持って行動し、そしてどのような結果になったのか、 というあたりがテーマなのではないかと思いました。

ベクターと赤いシルエットの女は、ゼブル計画がB.D.を救うことになると 信じていました。ひとつは、「罪の遺産」による、犯罪者家族への差別の 抑止、もうひとつは、まったく新しい生活を送らせるために 犯罪に関する記憶の操作。

自らもB.D.の生い立ちを持つベクターは、追いたてられるようにゼブル計画に 邁進します。しかし、B.D.が望んでいたのは、家族との触れあい、たとえば 一緒に食卓を囲むといったような、そんな時間でした。

B.D.の記憶には、ひとりでいることへの寂しさがつきまといます。 ベクターは、それを理解しつつ、それでもゼブル計画を進めることが B.D.はもちろん、自分にとっても最良だと信じていたようです。

B.D.、ベクターの「願い」のすれちがいは、マシルト・クリム釈放を きっかけに破綻へと進むことになりました。ベクターがなぜクリム一家を 襲ったのか。復讐ともとれますし、恐れともとれます。いずれにしても、 クリム一家を手にかけたとき、 彼自身の持っている罪の意識、そしてそれがB.D.へと伝わってゆくであろう という考えから抜けだすことはできなくなったのではないかと思います。

last sceneで何が起きたのか(2)

last scene後、記憶をとりもどしたB.D.は、「母」である赤いシルエットの女と 逃亡することを決意します。

B.D.本人については、この段階では追われるようなことは何もしてないと 考えられますが、それでも赤いシルエットの女とともに逃げることを選んだのは、 やはり過去のシーンでいくつか語られている通り、たとえ追われる身であっても いっしょにいたいと思ったからでしょうか。

一方、赤いシルエットの女は、なぜB.D.の記憶を取り戻そうとしたのでしょうか。 ベクターの凶行を目のあたりにすることで、 赤いシルエットの女自身、ゼブル計画の失敗、あるいは間違いを悟ったのでは ないかと思います。上官に発砲してまで逃亡を企てたのは、 やはりB.D.を救いたかったからという気持が強かったからではないでしょうか。

その他

すっきりしてない点をつらつらと...

(2004/06/14) 以下、いずれは「last sceneで何が起きたのか(3)」として まとめたいです。

B.D.は何も罪を犯していないという前提で書いてきましたが、 やはり、上官の言う「始末」というのがすっきりしません。

あと、やはり赤いシルエットの女の登場時期と、「母」と呼んでいることの 関係とか

他にも疑問が残る点があります。最大の疑問は、エンディングでシアンが 記述している、「彼女が無意識に捨てた記憶は、私が大事にしまっておくとしよう」 という文章です。 B.D.が思い出さなかった記憶、あるいは間違って思い出された記憶の存在が 示唆されています。

思い出されなかった記憶、間違って思い出されている記憶、というのは シーン内、シーン間の「矛盾点」として描かれるというのがミステリの 文法となっていますので(姑息な表現ですいません)、以下、とくに 感じた部分をまとめてみます。

(last scene後)赤いシルエットの女はなぜB.D.に警察に出頭するか否かの 選択を迫ったのか。なぜB.D.は逃走することを選択したのか

赤いシルエットの女に懸賞金がかけられているのは本人の口述通りでしょうが、 この会話からはB.D.本人が出頭あるいは逃走を選択する段階にいるという 風に理解できます。

ナイフ

B.D.の部屋にナイフが落ちていました。そして、黒い帽子の男が 倒れている部屋でもナイフが「落ちていた」とB.D.は言っています。 last sceneでは、ナイフを落としたのはB.D.本人でした。

黒い帽子の男が倒れている部屋に「落ちていた」ナイフには血がついていない と明言していますが、B.D.の部屋に落ちていたナイフについては 特に何も言及していません。

血のついたドレスの記憶

シーン中、B.D.は血のついた赤いドレス姿として思い出されています。 この血はいったい誰のものなのでしょうか。

時系列

細かいことなのかもしれませんが... B.D.の部屋と、黒い帽子の男が 倒れていた部屋をつなぐ通路での記憶は、last sceneでの記憶と比べると 時系列の点で矛盾が発生しています。 つまり、

部屋に入る前後の記憶が同時に発生しています。

また、自分の姿を「思い出す」というのも、どうもしっくりきません。

猫を殺したのは誰なのか(再)

これはさらに細かい話になりますが、猫を殺したのは誰なのかという点も 実はすっきりしません。B.D.にはなついていなかったそうですし、 見知らぬ人であればなおさらでしょう。警戒心の強いとされる猫が 易々と怪我を負わされるというのは少々理解に苦しみます。

ベクターの願い

そもそもベクターはなぜ脱獄してまでB.D.殺害を決意したのでしょうか。 なんとなく、罪が親から子へ伝わる「可能性」というよりは、「事実」を もとに行動したのではないかという気がします。

PS版 記憶の断片の説明から

PS版では、記憶の断片について、進行状況にあわせてその説明が 出現します。その中で挙げられている謎について眺めてみます。

中でも、「各シーンにあらわれる赤いシルエットの女は同一人物なのか?」 という点は考えてもみませんでした...

懐しい声

黒い帽子の男の姿にも関連しますが、last scene、夢の中で聞いた 「聞いたことはないけど、懐しい声」というのはいったい何だったんでしょうか。 B.D.殺害のために訪れたベクターであれば、このような表現が出てくることは ないように思います。

同様に、黒い帽子の男が潜んでいる部屋に入るときにも、 同じ懐かしさを感じています。

これは、薬によって失われた記憶が呼び起こされたというふうに 理解してよいのでしょうか。

...ここまで書いてみて、結局B.D.は何を思い出したのかということが わからなくなってきました。最初から分析を試みるのではなく、 この節みたいに、疑問点の列挙にとどめておくべきだったのかもしれません

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Zinnia (zinnia@risky-safety.org)