谷山浩子さんについて

僕にとってはもう不可分とまで思っているひと。

浩子さんの名前を始めて目にしたのは、おそらく中学生時代に読んでいた 坂口いくさんの「闇狩人」のおまけページ(?)の中だったと思います。 現代版必殺なこの漫画、 各エピソードのイメージソングを作者本人が紹介するコーナーがあって、 そこで浩子さんの「カントリーガール」「うさぎ」が紹介されていました。

その後も、高校時代はまっていた笠原弘子さんが、谷山浩子さんの 作曲した曲を歌っていたり(「いつかきみと」など)で、 浩子さん本人の歌声はよく知らないけど、浩子さんの作る曲は 本当に素晴しいなあと思うようになっていました。

浩子さんのアルバムを初めて手に入れたのは大学に入ってからです。 「BEST SELECTION」。第一印象はいまひとつかなーというところでしたが、 なんとなく聞き続けてゆくうちにはまりました。 当時は「夕暮れの街角で」「ごめんね」「サーカス」などが特に 気に入っていたようです。

めちゃくちゃ気に入った、というほどではなかったのですが、 それが自分にとって不可分とまで言えるほどの存在になったのは 「歪んだ王国」のせいだと思います。

アルバムなら「歪んだ王国」、曲なら「時計館の殺人」をもって この世の最上、と考える僕としてはこのアルバムの存在は とてつもなくでかいです。

このアルバムも、聞き始めた頃はあまり印象に残っていませんでした。 なにしろまともに聞きだしたのが90年代中頃、もうすでに10枚以上の アルバムが出ていましたので、かたっぱしから聞いているだけで 個々の曲やアルバムの印象がどうしても薄くなってしまうのは 仕方ないことなのかもしれません。

購入後2年くらいしたある日、ふと浮かんできたメロディ

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の正体を探っているうちに 「時計館の殺人」に到達しました。

あらためて聞いた「時計館の殺人」の感動を今でも忘れることができません。 僕はこんなに寂しくて、情熱的で、鮮やかで、美しくて、願いに満ちた 曲を他に知りません。

衝撃的な曲でした。僕にとって完璧...あるいは、 この曲に出会うために生まれてきた...なんてことを安易に 漏らしてしまいそうになる気持をこらえて、この曲に出会えただけで この世に生まれてきた価値がある、と、言いきれるほど、 僕にとってはかけがえのない曲となっています。

以来、誇張ではなく本当に毎日のように、「時計館の殺人」を聞いています。 去年、この曲を聞かなかった日は...たぶん数日もないでしょう。 普通の曲なら、いくら好きでも「聞きつぶす」といいますか、 当初の感動が薄れるような、飽きるような、そんな感じが するものですが、この曲だけは僕にとっては違うようです。 ただ聞こえてくるだけで、聞いているだけで幸せになれる。

世間一般では、この曲、作家の綾辻行人さんの作詞であり、同名の 小説をモチーフにした...ということで話題になりますが、 特別な思いを寄せている人は見掛けません。それだけに、 このコンサートは、ぜひ 目のあたりにしたかった。

なお、綾辻行人さんの作品はこの曲がきっかけで読むようになりましたが、 やっぱり「時計館の殺人」が一番好きです。

浩子さんの歌の中で、僕にとってとくに「好き属性」がつくのは、 時計館の殺人(歪んだ王国)、不眠の力(ボクハ・キミガ・スキ)、 鏡(銀の記憶)、子守唄(漂流楽団)、の4つでしょうか。

でも最初に聞いた70年代の曲 (「夕暮れの街角で」「ごめんね」「サーカス」など)もかなり好きだし、 「たんぽぽ食べて」「満月ポトフー」「ドッペル玄関」みたいなのも 大好きだしー、嫌いとか聞きたくないとかいうような曲は思いつく限りは 1曲もないしー

というくらい好きなのでした。


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Written and maintained by Zinnia